データとロールモデルから見る、日本の活躍する女性たち – ライフスタイル・仕事の両立 –

女性特有のライフイベント「妊娠・出産」に直面する女性が、自身のキャリアを諦めることなく、社会と繋がりながら自分らしく生きていきたいと考えるケースが増えてきました。しかし、そのロールモデルとなる女性たちはまだまだ多くないのが現状です。

ではどうすれば、そのような生き方ができるのか?

企業の一員として活躍する女性たちからヒントとなる「体験」「行動」とは何か、探っていきたいと思います。

目次

データから見る、日本と海外の女性役員数

まずは、データから日本の上場企業における女性役員の割合を見ていきます。

出典:内閣府男女共同参画局ホームページ(https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/yakuin.html#n01

国内企業の女性役員数は、2006年以降横ばいで推移してきましたが、2012年以降は右肩上がりにその比率も増えてきました。2012年以降の10年間で、630人から3654人と5.8倍に増加しましたが、それでも2022年7月時点の女性役員の割合は約9.1%で、国内企業の役員は10人のうち9人が男性と、女性比率はまだまだ低いのが現状です。
日本の女性の社会進出の歴史を振り返ると、1985年に成立した「男女雇用機会均等法」が大きなきっかけとなっています。法の下の平等を保障する日本国憲法に則り、雇用の機会や就業において、性別により差別されることを禁止した法律です。
その後、2015年に施行された「女性活躍推進法」では、全ての女性が輝く社会づくりを目指すと定め、国・地方公共団体・事業主は以下の内容が定義されました。

■女性の活躍状況の把握、課題分析

「採用者に占める女性比率」「勤続年数の男女差」「労働時間の状況」「管理職に占める女性比率」その他の項目について把握し、課題分析を行うこと

■行動計画の策定

分析結果より明らかになった課題を解決するための行動計画の策定を行い、「計画期間」「数値目標」「取組内容」「取組の実施時期」を盛り込むこと

■女性の活躍に関する情報の公表

2022年には常時雇用する労働者が301人以上の事業主に対し、「男女の賃金の差異」が情報公表も必須項目となり、男女間賃金格差の縮小を図る動きも見られる。

※常時雇用する労働者が101人以上300人以下の事業主は、情報公表項目(16項目)のうち任意の1項目以上の情報公表が必要

女性が妊娠・出産後に再び社会で働きたいと思っても、社会復帰することに対する課題は多く、さらには多くの部下を抱え責任ある立場として働くことを困難にしている要因は、多岐に渡っています。

■雇用する側の雇用条件と合致しない

(リモートやフレックスなどに消極的、子どもの体調不良の際に職場の対応が厳しい)

■男性が育児参加することに消極的

(女性中心の子育て、育休率が低い)

■社会全体で子どもたちを育てる意識が低い

(子どもたちの遊ぶ場所が減っている、社会全体が疲弊して他者への思いやりが欠如)

「男女雇用機会均等法」の施行から約40年近く経った今、社会における女性の就労環境や性別による格差も改善されてきたはずですが、未だに働く女性が輝ける社会には課題が残っているようです。
法整備も必要であるのはもちろんですが、就業したいと考える女性たちが安心して働けるような、男女問わず社会全体の「意識そのもの」を変えて(改革して)いかなければ、女性たちが輝ける社会は実現困難なように思えます。

ここまで、日本国内における女性役員数活躍の推移を見てきましたが、世界に目を向けてみるともっと衝撃的な数字が見えてきます。

出典:内閣府男女共同参画局ホームページ(https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/yakuin.html#n01

データから欧米諸国の女性役員割合が30%近くであるのに対し、日本は12.6%と圧倒的にその割合が低く、同じアジアの中国や韓国も同程度の割合となっています。

中でももっとも女性役員の割合が高いフランスは、合計特殊出生率が1.8(2022年)と少子化に歯止めがかからない日本よりもかなり高く、また女性の就業率が高いことでも知られています。


フランス以外のイタリア、スウェーデン、ドイツ、カナダ、アメリカも、日本よりもジェンダーギャップ指数(男女格差を図る指数で、「経済」「教育」「健康」「政治」の4つの分野のデータから作成)が高く、男女格差が少ない国々です。(1.0が完全平等を表しています。)

一方で、2022年の日本は0.650、順位は146か国中116位と、先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となっています。
また合計特殊出生率は、中国を除き、上記の国々の中で日本や韓国は低い数値となっています。

女性が社会で活躍するには、子どもを産み育てやすい環境であることと妊娠・出産に依らずキャリアを継続していくことは切り離せない関係であると思います。

国内の上場企業における女性役員の割合(業種別ランキング)

さらに上場企業の女性役員の割合は、業種によってバラツキがあります。

出典:内閣府男女共同参画局ホームページ(https://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/yakuin.html#n01
女性役員割合の業種別ランキング(内閣府男女共同参画局)を加工して作成

例えば、食料品は第一位がブルドッグソースで33.3%、第二位がカゴメ30.0%。
化学は第一位が資生堂で46.2%に続き、化粧品メーカーのシーボン、ノエビアホールディングスともに40%を超えています。

他にも小売業の第一位であるローソン、三洋堂ホールディングスは50.5%と高い傾向です。

意外にも感じた業種では、電気機器の第一位はユニデンホールディングスの60.0%、ニューテックの 50.0%、精密機器の第一位セルシード50.0%
情報・通信業の第一位AI CROSS 50.0%と、電気機械ジャンルの女性役員比率が高いこと。

逆に繊維製品の第一位オンワードホールディングスは20.0%、第二位のグンゼ、富士紡ホールディングス、山喜の三社は16.7%、パルプ・製紙の第一位は王子ホールディングスで23.5%と女性の生活に近い商品・サービスを提供している会社でも女性役員比率が低いことや、その逆も見えました。

日本の企業で、ライフスタイルと仕事を両立している女性たち

世界を見てもまだまだ少ない日本企業の女性役員。ここからは具体的に、国内企業で役員として活躍されている女性の経歴を見ていきたいと思います。
(ご経歴は各社コーポレートサイトやインタビュー記事から拝見し、ご紹介しています。)

ヤーマン株式会社:代表取締役社長(山﨑 貴三代)

2023年5月に設立45年を迎えるヤーマンは美容機器メーカーで、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

精密電子機器メーカーとしての技術開発基盤を背景に、美容健康分野へ参入したヤーマン。業務用美容機器をメインとして扱っていましたが、家庭用美容機器の製造へとシフトしブランド力を高めることに注力し、化粧品の開発にも参入しています。

ヤーマンの素晴らしいところは、男女雇用機会均等法ができてわずか2年目にして男女同一賃金を実現しただけでなく、当時女性が担う傾向がある受付やお茶出しの仕事だけでなく、女性を積極的に起用した点だと思います。

「ケアしたいけれど、エステに行く時間もお金も作れない」「日頃から子育てや仕事で忙しい」といった女性のニーズをキャッチアップし、「家庭用」美容機器の製造へと大きく舵を切ることができたのも、女性を起用することでユーザーとの距離感をなくす「行動力」や、より身近なユーザーの声を吸収する「きめ細やかな心配り」のおかげかもしれません。
実際に製品を使用する女性たちの目線での製品開発も、同性だからこそ実現しやすいのではないでしょうか。その結果、女性も活躍できる企業へと成長し企業の発展へと繋がったのだと思います。

近年、男性の美容意識も高まっており、性別の垣根を超えた製品開発を期待したいですね。

KDDI:女性初の役員(最勝寺 奈苗)

KDDIで初の育児休暇を取得され、ライフイベントの経験が仕事においても武器になること、また仕事において性差関係なく取り組み選択できる状態や、一人一人がお互いの違いを認めることが大事であると語っておられます。

「子育て」は、まだ社会を経験していない子供と向き合うことなので、「社会での成功経験」で得た手法は通じないものです。子どもは、男女の性差は関係なく一人一人が異なる人格を持ち、同じ親から生まれても一人一人が違います。「子育て」の経験を経たからこそ、会社でもきめ細やかな視点で人を見て、一人一人と向き合って仕事に取り組む礎になったのではないかと思います。これから求められる上司像のように思いました。

また多くの企業は、「社会が何を求めているか」に対して正確に察知し、適切に対応しようと努めていると思います。2022年に大規模通信障害というトラブルが発生しましたが、その際の対応が適格でスピーディーだったことが、逆に企業評価を上げたようです。

また、今女性が求める「働きやすい環境」「子育てと仕事の両立」を実現するため、育児休暇を取り入れる社内環境を整えることも早期に行われていたようです。女性も働きやすく、今後の企業発展や社会ニーズに照らし合わせて、成長していく企業が社会から求められると思います。

パナソニックホールディングス:執行役員(松岡 陽子)

ロボットや人工知能(AI)の研究者として活躍され、結婚後は双子を含む4人の子どもを育てながら家庭と仕事をこなしていらっしゃいます。

子どもたちが幼い頃は、仕事も子育てもがむしゃらに頑張りすぎた結果、心も体も疲弊してしまい逃げ出したくなる経験を感じられたこともあったようです。しかしこの経験のおかげで、時間の使い方やオンオフの切り替えもコントロールし、「子ども」にも「仕事」にも力みすぎずに向き合えるようになっていかれたようです。

また現在、テクノロジーと人間各々の良さを使い、働く女性を支えるパーソナルメンバーシップサービスを展開するビジネス「Yohana」の創業者としても活躍されています。

このYohanaにおける取り組みは、現実で直面している「子育てと仕事の両立」の経験と、元々技術者であった経験がうまく融合しているようで、今後人口減少時代に突入していく日本においてITテクノロジーを使って子育てと仕事を両立するサービスは注目が集まるのではないでしょうか。
松岡さんのように、自身の経験とスキルと組み合わせてビジネスチャンスにつなげていけば、仕事の幅も広がると思います。

両立するのに欠かせないのは、スキルとテクノロジー

現在の日本において、女性が活躍していくにはまだまだ法整備といったインフラ面だけでなく、人々の考え方といったソフト面の課題も多そうです。
特に女性が子育てと仕事を両立するために、社会全体がそれを許容し支えていく環境が必要です。その現状の中で、すでに活躍している女性から学べることは頑張りすぎず「時間」「バランス」を大事にしながら、ライフスタイルと仕事を両立させることではないでしょうか。

両立を実現するために、常日頃から世の中の動きにアンテナを張り、世間のニーズをいち早くキャッチアップする意識を持つことや、自身の経験とスキル・知識(ITスキル・テクノロジー)も重要だと思います。

ぜひ、皆様のご意見もお聞かせください。

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