女性が活躍する企業を見つける基準 「えるぼし認定」を大調査 – 認定の方法から、業種間の違いまで

「キャリアを継続させたい」「キャリアアップしたい」と考える女性が日本でも増える中、彼女たちを取り巻く環境は欧米諸国に比べて決して恵まれているとは言い難いのが現状です。

そのような中で、女性がキャリアを諦めることなく継続して働きやすい環境を実現している企業も徐々に増えてきています。

今回は女性が活躍することを可能にしている業種や、どのような企業がそれらを実現しているのかを知り、女性が活躍するためのヒントを探っていきたいと思います。

目次

女性活躍推進企業認定「えるぼし・プラチナえるぼし認定」

出典:職場情報総合サイト (https://shokuba.mhlw.go.jp)

就職や転職に際し、女性がキャリアを継続し、またキャリアアップを目指すことを視野に入れるのであれば、どのような企業や業種であれば実現できる可能性があるのかを予め知っておくと良いと思います。
そのような企業や業種を選択する時の指標の一つとなるのが、厚生労働大臣が定める認定マーク「えるぼし認定」「プラチナえるぼし認定」です。

■「えるぼし認定」とは

一般事業主行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下、「女性活躍推進法」)に関する取り組みにおいて一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況が優良な企業に対して認定されます。

■「プラチナえるぼし認定」とは

えるぼし認定企業のうち、一般事業主行動計画の目標達成や女性活躍推進法に関する取り組みにおいて一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況が特に優良である等の一定の要件を満たした企業に対して認定されます。(令和2年6月~)

認定を受けるには?

女性が働く際に能力を発揮しやすい職場環境であるかについて、以下の5つの評価項目における実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表する必要があります。

  1. 採用
  2. 継続就業
  3. 労働時間等の働き方
  4. 管理職比率
  5. 多様なキャリアコース

■「えるぼし認定」は、全部で3段階

上記の5つの評価項目のうち、基準を満たしている項目数に応じて取得できる段階に分けられます。

職場情報総合サイト (https://shokuba.mhlw.go.jp)のデータを加工して作成

・えるぼし(3段階目)

5つの評価項目のうち全ての基準を満たし、その実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表すること

・えるぼし(2段階目)

5つの評価項目のうち3〜4つの基準を満たし、その実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表すること

・えるぼし(1段階目)

5つの評価項目のうち1〜2つの基準を満たし、その実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表すること

■「プラチナえるぼし認定」は、「えるぼし認定」を受けた上で、下記の条件を満たす必要がある

・5つの評価項目を、「プラチナえるぼし認定」の基準で満たすこと(※)

・男女雇用機会均等推進者、職業家庭両立推進者を選任すること(※)

・女性活躍推進法に基づく情報公表項目(社内制度の概要を除く)のうち、8項目以上「女性の活躍推進企業データベース」で公表していること(※)

・策定した一般事業主行動計画に基づく取組を実施し、当該行動計画に定めた目標を達成したこと

(※)実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表すること

「しょくばらぼ」で検索可能

厚生労働省の職場情報総合サイト「しょくばらぼ」で、「えるぼし認定」された企業を検索することができます。

◇令和5年(2023年)2月末時点での実績
■えるぼし認定:1,833社
■プラチナえるぼし認定:32社
令和2年9月末時点での実績よりも増加しており、企業側も積極的に女性活躍を推進していることがうかがえます。

※ 令和2年(2020年)9月末時点
■えるぼし認定:1,134社
■プラチナえるぼし認定:3社

「女性活躍推進」に関する職場を検索すると、下記の情報を閲覧・比較することができるので、是非参考にしてみてください。

<女性活躍推進に関する職場情報>

■月平均残業時間
■年次有給休暇取得率
■育児休業取得率
■男女別の職種又は雇用形態の転換実績
■労働者に占める女性労働者の割合
■採用者に占める女性の割合
■採用における男女別の競争倍率又は競争倍率の男女比
■平均継続勤務年数又は採用10年前後の継続雇用率
■女性管理職の割合
■役員に占める女性の割合
■係長級にある者に占める女性労働者の割合
■女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画

業種別での比較

次に、業種別で比較してみました。

左から、「えるぼし認定」「プラチナえるぼし認定」の数となっています。
※カッコ内は、業種全体での企業数

  • 農業、林業  1,0(387)
  • 漁業  0,0(28)
  • 鉱業、採石業、砂利採取業  2,0(59)
  • 建設業  101,0(11,859)
  • 製造業  278,3(14,549)
  • 電気・ガス・熱供給・水道業  23,0(464)
  • 情報通信業  284,6(4,642)
  • 運輸業、郵便業  22,0(3,539)
  • 卸売業、小売業  185,2(12,006)
  • 金融業、保険業  168,5(1,265)
  • 不動産業、物品賃貸業  28,0(1,897)
  • 学術研究、専門・技術サービス業  176,3(2,972)
  • 宿泊業、飲食サービス業  24,1(3,171)
  • 生活関連サービス業、娯楽業  31,0(2,775)
  • 教育、学習支援業  33,2(1,664)
  • 医療、福祉  159,4(14,107)
  • 複合サービス事業  9,0(681)
  • サービス業(他に分類されないもの)  303,5(12,055)
  • 公務(他に分類されるものを除く)  4,1(61)
  • 分類不能の産業  10,0(974)

えるぼし認定を受けた業種の特徴

「えるぼし認定」を受けている割合が高かったのは「金融業、保険業」13.3%、「情報通信業」6.1%、「学術研究、専門・技術サービス業」5.92%、「電気・ガス・熱供給・水道業」4.95%の4業種となっています。

上位4業種における「女性活躍推進に関する職場情報」の中から、女性がライフイベントを経ながらキャリアアップする上で必要な項目のデータをピックアップしてみました。

■「金融業、保険業」(168社)

女性労働者の割合:平均39.87%(総合職・正社員)
         平均68.79%(一般職・非正規職員)(回答企業138社)
女性管理職の割合:平均18.24%(回答企業159社)
女性役員の割合:平均8.32%(回答企業106社)
男性の育児休暇取得率:平均52.79%(回答企業111社)

■「情報通信業」(284社)

女性労働者の割合:平均33.27%(正社員・技術専門職)
         平均54.57%(一般職・非正規職員)(回答企業224社)
女性管理職の割合:平均19.24
女性役員の割合:平均8.8%(回答企業160社)
男性の育児休暇取得率:平均37.95%(回答企業166社)

■「電気・ガス・熱供給・水道業」(23社)

女性労働者の割合:平均19.03%(事務系・正社員)
         平均5.20%(技術職)(回答企業21社)
女性管理職の割合:平均6.12%(回答企業22社)
女性役員の割合:平均12.47%(回答企業17社)
男性の育児休暇取得率:平均48.29%(回答企業18社)

■「学術研究、専門・技術サービス業」(176社)

女性労働者の割合:平均41.85%(正社員・コンサルタント・技術職)
         平均57.15%(一般職・事務職・非正規社員)(回答企業128社)
女性管理職の割合:平均26.92%(回答企業146社)
女性役員の割合:平均18.09%(回答企業90社)
男性の育児休暇取得率:平均29.46%(回答企業73社)

<えるぼし認定上位4業種の職場情報から分かること>

・女性労働者の割合
「電気・ガス・熱供給・水道業」を除き、職種問わず30%以上となっています。
また「情報通信業」や「学術研究、専門・技術サービス業」は、技術職を含めた数字でありながら平均30〜40%と健闘していることが分かります。

・女性管理職および女性役員の割合
「電気・ガス・熱供給・水道業」における女性管理職の割合は6%で、他の3業種(18〜27%)に比べると低い数字ですが、女性役員の割合は12%と他の3業種(8〜18%)と変わりありません。

・男性の育児休暇取得率
4業種とも30%以上となっており、女性が妊娠出産を経てもキャリアを継続する上で重要な情報になると思います。

プラチナえるぼし認定を受けた業種の特徴

 次に、「プラチナえるぼし認定」をみていきましょう。

金融業、保険業」が0.4%と最も高く、「情報通信業」0.13%、「学術研究、専門・技術サービス業」0.1%と続きます。認定を受けるハードルが相当に高いだけでなく、女性が企業で活躍する職場環境もまだまだ発展途上にあることが分かります。

そこで、現在プラチナえるぼし認定を受けている企業がどのような取り組みを行っているのかを調べてみました。

◇ 株式会社インテリックス(製造業)

令和2年6月23日、全国初のプラチナえるぼし認定

女性労働者の割合:80.6%(工場・営業職)
         86.2%(事務職)
         71.3%(販売・施工職)
女性管理職の割合:20.0%
女性役員の割合:33.3%
男性の育児休暇取得率:85.7%

株式会社インテリックスは、オーダーカーテンの製造販売を行っています。

製造業は、業種の中でも女性労働者や女性技術者の割合が低い傾向がある中で、職種問わず80%近くが女性労働者で占めており、すば抜けて高い割合です。

また技術施工職は一般的に男性が多いとされていますが、女性の視点からより高いサービスを提供するため、令和4年度には女性2名(技術施工職の女性割合として9.5%)を採用するなど、積極的に女性を採用していることが分かります。

その他にも

  • 短時間勤務制度:子どもが小学校3年生の年度末まで勤務時間を1日2時間まで短縮可能
  • 資格手当:正社員・パートともに(対象資格あり)
  • 在宅勤務制度の導入(令和2年4月〜)

などの制度も整っており、女性のキャリア継続だけでなく、キャリアアップを後押ししています。

◇ 福井県民生活協同組合(卸売業・小売業)

令和2年7月31日、プラチナえるぼし認定

女性労働者の割合:正規職員52.6%
         非正規職員87.4%
女性管理職の割合:26.5
女性役員の割合:0%
男性の育児休暇取得率:60.0%

福井県民生活協同組合は、福井県全域を対象とした地域購買生協で、食品小売事業(宅配事業・店舗事業)、子育て支援事業、高齢者介護事業、ヘルスケア事業(食事宅配、葬祭、移動店舗)などを展開しています。

業種全体としては、女性労働者も決して多い方ではありません。

※参考(業種全体として)
女性労働者の割合:正社員35.33%
         非正規社員55.42%

そのような中、以下の独自の取り組みを導入し、仕事と育児・介護の両立を支援しています。

■ 男性の育児休暇に関する取り組み:「ベビー休暇制度」
子供が1歳に達するまでの期間で、育児を目的として連続7日間休暇を取得した場合、1万円を支給するとしています。

■ 育児休業期間:1年半(育児・介護休業法を上回る基準)

■ 介護休業期間:1年半の取得可能(育児・介護休業法を上回る基準)

また女性管理職の育成に向けた研修の実施や、女性管理職の比率向上のため女性職員同士の交流の場を設けることにより将来のキャリアをイメージしやすい取り組みを行っているようです。

◇ 福井県民生活協同組合(卸売業・小売業)

令和2年8月7日、プラチナえるぼし認定

女性労働者の割合:62.5%(管理職員)
         74.6%(介護職員・保育士)
         97.1%(看護職員)
         93.7%(栄養士・調理員)
女性管理職の割合:55.0
女性役員の割合:28.5%
男性の育児休暇取得率:50.0%

社会福祉法人篤豊会は、加賀市を中心に高齢者のための各種福祉施設を運営し、2001年より現理事長である久藤 妙子氏が就任しています。

業種全体としては女性労働者や女性管理職の占める割合は多い傾向があり、他社と比較して目立った差はありません。

しかし、他社と大きく異なる点が「男性の育児休暇取得率」にありました。他社が平均16.43%(回答企業:901社)に対し、社会福祉法人篤豊会は50%と圧倒しています。さらに育児休暇後も、当人の生活環境を考慮して、短時間勤務の受け入れを行っており、仕事と家庭の両立をサポートしていることが分かりました。

まとめ

「プラチナえるぼし認定」を受けている企業の取り組みからも分かるように、業種・職種による女性活躍の環境に差はありますが、企業独自の制度や取り組みによって、女性がキャリアを諦めることなく社会で活躍することは可能であると思います。今後女性がキャリアアップしていくために、どういう企業で仕事を続けるかは重要な指標になってきます。

「えるぼし認定」を取っているか、もしくは今後取得する予定があるかを投げかけることで、その企業の考え方がわかるかもしれません。

企業自身の前向きな取り組みと業界の傾向を知る上で参考にしてみていただければと思います。

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